殖民

1931年1月

 

軍部より見たる問題の帰趨

「権益擁護の戦、先鋭化せん」

陸軍参謀本部支那班少佐 影佐禎昭

 

満蒙問題については、単に満蒙の権益を回収すれば解決すると説くは間違いである。勿論それは重要な問題であるが、我が人口政策より言って満蒙ならびに東部シベリアも、我が支配下に置くことが必要である。今日支那はしきりに満蒙に進出しているが、その解決は戦争をもってする外はない。政策のための戦争、現在の権益擁護の戦は、不戦条約に照らして見るも不当では無い、南京政府成立以来、利権回収の指導精神は、国民の脳裏に深く沁み込んでいる。

昨年、馮玉祥に会った時に、日本との提携を説いてみたが、彼は東洋の大を為すためにその策をとるも、いかんせん支那今日の世論が、これを許さぬという事であった。今や支那との妥協の余地は無い、逐次先鋭化し、早晩大衝突は免れない。単なる交渉では百年河清を待つようなものである。

 

(句読点、漢字、旧仮名遣いなどは現代に合わせて修正)

 

 

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